古民家の学校 vol.8 「古民家専門の建築士」について詳しく知りたい
古民家とは、一般庶民が住む古い建物を指します。明確な定義はなされていませんが、登録有形文化財制度の「建設後50年を経過したもの」が一つの指標。地震大国の日本ならではの職人の工夫と技術が詰まった古民家は、改修に専門の知識が必要となります。古民家や古い木造住宅を専門に改修を手がけている「谷野設計」の建築士、谷野友香さんにお話を聞きました。

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教えてくれたのは
建築士/谷野友香さん
創業1984年の「谷野設計」に勤務。カラーコーディネーターや学芸員などの資格を持ち、趣味は史跡や古都巡りなど、日本の伝統文化や古建築に造詣が深い。築100 ~ 150年の古民家や旧耐震の木造建築改修の実績が多い。
Q:谷野さんが思う古民家の魅力と、仕事のやりがいを教えてください。
A:本当に古民家と言える建物は、材もいいし、秀逸な職人技が残っています。でもそれ以上に魅力を感じるのは古民家の持つ「時間」。この場所はこう使っていたんだなとか、こう改修したんだなと、住む人とともに経過してきた時間を感じることができます。昔の職人さんたちの想いと現場で会話できるのも楽しいですね。現場ごとに個性があるので、職人さんたちと一緒に作業することで、対応できる引き出しが増えるのもまたやりがいの一つです。

自身のブログ「寺社建築探訪記」を紙媒体に編集したかわら版。古建築の魅力を伝えるために2016年から製作している
Q:古民家の改修で気をつけていることは何ですか。
A:一番時間をかけているのは、施主とのやりとりです。大規模改修であれば、まずは間取り云々よりも、どんな暮らしがしたいのかを入念に聞き取り、お互いのイメージの差がないように確認をしています。立体的に起こした図を書いてお渡しすることも。並行して行うのが、敷地条件の調査です。改修に必要な情報の他、災害の可能性など生活する上で重要な周辺環境の情報を収集しプランを立て、施主の望む暮らしが実現できるように心がけます。

谷野さんの手書きプレゼンシート。現地調査の手書き図面には計測した値の他、設計するのに必要な情報や傷みの箇所などが一枚で全てわかるようにしている
Q:古民家を購入する際のアドバイスなどあれば教えてください。
A:古民家の雰囲気に惚れ込んで購入を考える方も多いと思いますが、デメリットもきちんと把握しておくことが必要です。求める快適性や機能性の度合いによっては古民家風の新築を建てたほうが希望に沿う場合もあります。また場所や敷地、使っている材料によってはシロアリ被害や木の腐朽具合など、購入後の改修費用が大きくなることもあります。購入前に建物の状態を建築の専門家に見てもらうことをお勧めします。また、古民家暮らしに求める優先項目やその為に必要になる改修費、その後の生活費とのバランスを考えることが大事だと思います。

信頼できる自慢の職人たち。長年ともに仕事をし、職人同士が互いの仕事のしやすさを考慮した絶妙なチームワークは最大の強み
谷野設計さんお話ありがとうございました。