ローカルの灯をともす

ローカルの灯をともす

家の雰囲気に合う店づくり

軒下に並んだ、真っ白な暖簾が目印の「おやつのカンデラ」は、ドーナツとプリンの店だ。高松市松並町にある木造二階建ての一見普通の民家。しかしこの暖簾がかかると、雰囲気が一変して店の顔になる。

「カンデラとは、光の強さの単位のことです。キャンドル一本の炎の明るさを、1カンデラと数えます」
そう話してくれたのは、キャンドル作家でもある店主の矢野隼也さん。
妻の亜希さんと2022年9月からこの店をオープンさせた。

店をする以前から、キャンドルを使ったイベントの演出なども手掛けてきたこともあり、店の名前は、町の活気を絶やさない、地元の灯りとなるようにと願いを込めてつけたそう。

向かって左玄関から入れば注文受付がある。商品を頼んだ後、靴を脱いでゆっくりしたい人は右玄関から和室に移動するスタイル

左:キッチンカウンター越しの飲食スペースの他、店の奥にも2人席の座敷がある
右:矢野さんお手製の食器棚。後ろの通路から和室に行き来ができる

以前は焼肉屋だったというこの物件を選んだ理由は、駐車場が広く、店舗兼住居の構造から玄関が二つに別れていたこと。
西側の玄関から入れば、注文を受け付けるキッチンカウンターがあり、東側の玄関から入ると、和室の飲食スペースになっている。別々の空間になっているため、和室ではゆったり静かに過ごせるという。

築三十年の賃貸物件だが、状態も良く、家主さんの好意でセルフリノベができたことも条件に適っていた。ものづくりが得意で、最初から店の改装は自分でするつもりだったという矢野さん。
壁の塗装はもちろん、営業許可上必要な壁を造作し、食器を置くのに必要な棚も手づくりした。電気工事士の免許も取得したので、配線も自分でしたのだとか。

「昔から不動産物件を見るのが好きで、この家ならこんな店っていうのが、何パターンも頭の中にあるんです。ここを見つけた時、厨房が狭かったという現実的な問題もありましたが、極力素朴でシンプルなおやつが、イメージに合うんじゃないかと思いました」。

レトロな足踏みミシン。メーカーはなんと「TOYOTA」

ブックスペースには、亜希さんデザインのTシャツがサンプルとして飾られている。ネットで注文を受け付けているそう

店のお気に入りの場所を聞くと、「アレですね」と指をさす。視線の先には、東西の部屋を分ける壁にぽっかり空いた丸窓。玄関を入った瞬間に目に入る。

窓にはもともと四角い組み木細工の障子がかけられていて、最初は穴を塞ごうと思っていたという。なんとなく手をつけないまま開店させたところ、意外にも客には大好評だった。
「皆さん面白がってくれて、ここの写真を撮っていくんです。和室でくつろいだお客さんは、ここから『ごちそうさま』って声かけてくれたり」

ドーナツやさんと丸い穴。確かに相性も良さそうだ。風に揺れる暖簾が、まるで母のエプロンのようで、温かく迎えてくれている気がした。

丸窓にチョコンとかわいいオブジェ

和室から見た丸窓。店のシンボルになってきている

 

〈リノベとさぬき暮らし File-65〉
おやつのカンデラ

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