case 11ー 建築士 / INTERIOR DESIGN GUIDE 2025

左:鈴木さんの作業部屋。ここに基本5〜6時間いる。窓からは家庭菜園や手作りのお庭が見える
自分の暮らしを
愛おしむ
仏生山ちきり神社につながるお成街道沿い。仏生山大名行列が窓から見えるこの場所に鈴木祐介建築事務所がある。元々屋島や牟礼のあたりで事務所を探していたが、良いところが見つからず、たまたま仏生山の土地を見て出会ったのがここだった。
入口のディスプレイには鈴木さんオリジナルの絵画やモニュメントが佇む。シンプルなしつらえにあたたかみあるインテリアがマッチしている。そして、左手に打ち合わせスペース、その奥に作業部屋がある。事務所全体の色はダークブラウン・オフホワイトをベースに各所に差し色を散りばめる。
「机などの大きい家具は色を決めてから買うとやりやすい。反対にカーテンなどの動くモノは固めすぎず、自由に色を考えた方が楽しいと思うな。色のトーンは揃えた方が簡単におしゃれに見えるよ」。

打ち合わせスペース。「仲間たちで塗ったこの壁は、コテむらもあるけど、『これはあいつが塗っとったな』と思い出になるんです」

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POINT! >>> 旅行先で見つけて集めているコレクションがたくさん。
自分が欲しいモノを、少しずつ暮らしに取り入れていく喜び
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2階は、お昼休憩や仕事の合間にほっと一息つくためのプライベートスペース。棚やテーブルがダークな色合いのため、床は明るい木板にして、外からの光をほんのり反射するように考えられている。ダイニングキッチンは、立ち作業と食事の高さを段差でゆるやかに分けた構成で、動作もスムーズに行える。また、窓際の壁はDIYでタイル貼り。手作りならではの味わいとタイルのぽてっとした艶感がアクセントになる。
階段を挟んで南側には、以前から欲しいと考えていた和室を設けた。「気持ちが静かな時は、座禅の真似をしたくなることあるでしょ?」と鈴木さん。い草の香りが心を癒してくれる。季節ごとに、どんな掛け軸を掛けるかを考える時間もまた楽しみのひとつだ。
日常の小さな喜びを丁寧に積み重ねながら、暮らしに愛着を持ち、整えていく。そして、その積み重ねが、心を豊かにしていくのかもしれない。

晩酌のお供であるお猪口のスタメンが一列にかわいく整列している。時々入れ替えるそう

「居合を習っていてその師匠が描いてくれた水墨画が宝物なんです」と掛け軸に仕立てた竜の水墨画を見せてくれた。ユーモラスな顔がお気に入り

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鈴木 祐介
建築士 | 鈴木祐介建築事務所 | 香川県さぬき市生まれ。住宅は人が暮らし、考え、悩み、育つための舞台だと考え、さらに魅力のある形をつくる






