case 16ー 建築士 / INTERIOR DESIGN GUIDE 2026 NEW

case 16ー 建築士 / INTERIOR DESIGN GUIDE 2026

多角的な視点で
空間やモノを捉える

2025年10月、高松市伏石町の野田池の南側に、「イッケンハンハウス」と名付けられた一際目を引くとても小さな建物が竣工した。その名の通り、間口が一間半の建物は、山猫百貨店一級建築士事務所の仕事場兼自宅である。以前は大阪で活動し、Uターンで香川に戻ってきたという代表の山根侑己さん。奥行き15m、間口が4mの土地を見つけた時は、ここに家は立てられないと思っていたが、実際に図面を描いてみると可能性が見えた。
仕事と暮らしの時間がある中で、小ささと狭さは違うと考えている。例えば、場所を仕事部屋やリビング、寝室などと決めつけず、仕事と暮らしで兼用し、境目を作らないことで、小さいけれど、狭くないような使い方ができるように工夫している。

 

3畳もないほどの打ち合わせスペース。手前の靴を脱いで上がる側面は刃物で削り跡を残す「名栗」という日本古来の技を取り入れた

 

廊下兼作業スペース。部屋を行き来する場所であり、仕事に集中する場所でもある

 

入口の暖簾は風で空間に動きが出る。今後は、季節に合わせてのり染などにしようかと検討中。2階のバルコニーで、子どもと朝食を食べることもあるそう

 

建物はナチュラルな色合いでまとめられ、どんなインテリアを置いても映えるように考えられている。土壁に見える壁は、ジョリパットという樹脂系塗材に藁すさを混ぜて塗ったもの。「“本物”は大事だけれど、“本物らしさ”も大事」と考え、土壁の雰囲気を残しつつ、現代の生活に合わせた素材を選んだ。
照明は、電球色の電灯で統一し、数も必要な分だけに厳選している。壁も床もインテリアも自然素材を使っているため、表面に凹凸ができ、陰影ができるのも山根さんのお気に入り。
そして、廊下に向かう部分の暖簾は、事務所の入口に掛かっていた暖簾と同じ素材で、農業で虫除けなどで使われる「寒冷紗(かんれいしゃ)」。耐水性、耐候性も兼ね備えており、とても安く、ホームセンターでも買えるのだそう。本来の用途とは違うがその場所に合った使い方は、場所を兼用する考え方にも通じているかもしれない。

靴をはかずにモノを取りに行けるようにした「飛木(とびき)」。木が乾燥して割れる前に「背割り」をしている。蓮の葉のようにも見える

床と机の木目の向きを合わせるときれいに見える。テレビ台にもなっている収納棚は、引き出しは無印良品で購入し、そのサイズに合わせて大工に仕切りを作ってもらった。用途の変化に合わせて、買い替えられる

階段の上の腰掛けられる休憩スペースでは、本を読むこともある

2階の廊下はキッチンと脱衣場が兼用になっている。ロフトに繋がるはしごもある

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POINT! >>>

実家で子どもと見つけた、蕾が付いた梅の枝を切って、置く。花器もその時切った竹を使った

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★ 山猫百貨店一級建築士事務所について、詳しくはこちらから

・山猫百貨店一級建築士事務所HP

・アキリノ住まいの電話帳

・当記事は「アキリノstories21」(2026年4月発行)に掲載しています

case 16ー 建築士 / INTERIOR DESIGN GUIDE 2026

山根 侑己

建築士 | 山猫百貨店一級建築士事務所 | 香川県高松市生まれ。住まう人の感覚や心に寄り添い、暮らしそのものをデザインする

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