case 13ー 鉄作家 / INTERIOR DESIGN GUIDE 2026

case 13ー 鉄作家 / INTERIOR DESIGN GUIDE 2026

そこにある
環境とモノが形作る

高松市西植田町の小高い丘の上。オリーブ園「oki olive」のオリーブ畑の細い道を行くと左手に槙塚鉄工所の槇塚登さんのギャラリー兼作業場がある。鉄のフライパンやインテリア、キャンプギアなどの制作を手掛ける槇塚さんは今から5〜6年前、鉄を叩く音を気にせずに作業できる場所を探していた。そんな時oki olive園主の澳さんと出会い、いい場所がないか聞いてみると「小屋あるよ」の一言。トタンの錆び具合が気に入り、即決したそう。
当初、農機具や家財道具であふれていたこの場所は扉も窓もなかった。だから、三輪バイクの扉やOSBボード(木片を圧縮したボード)で空間を仕切ったり、照明を吊るしたりと自分で見つけたモノを組み合わせていった。木槌とやっとこのドアノブ、赤い窓枠など真似したくなるインテリアがそこかしこにあるが、「そこにあったモノを使っただけ」と飾らない笑顔で話してくれた。

使わなくなった道具も遊び心のあるインテリアになる

仕事で使った火を薪に移し、お湯を沸かしてコーヒーを飲む。炎を眺めながら自然な温もりを感じるのが心地良い

 

ギャラリースペースは、槇塚さんが20〜40代に作った絵画や立体作品が壁や棚にレイアウトされている。「好きなモノをポンって置くだけで、 好きな空間になる。モノからエネルギーをもらえるような気がする。モノも喜ぶだろうし」。
部屋の中で焚き火が楽しめるのも魅力。この焚き火で自分が開発した道具のテストもするのだとか。温かさに惹かれて人が集まり、ご近所さんのコミュニティの中心にもなっている。
奥は、フライパンや焚き火の炉皿を1点1点叩いて作る作業場だ。鉄を叩く時は、鉄板を熱するためのコークス炉の近くに座り、必要な道具を手元にセッティング。ほとんど立たずに仕事できるように効率も考えられている。
「この土地だから生まれる道具もあるんです」とオリーブの木が取手になったフライパンを見せてくれた。窓から見えるオリーブの木々、作業場を通り抜ける風と光、この空間が槇塚さんのアイデアの一部になっているのだろう。

作業場。OSBボードの壁に釘や壁掛けフックで道具が吊るされている。「家の壁に釘で穴を開けるのは気がひけるけど、ボードを1枚貼っておけば、気にせず、抜いたり開けたりして都度レイアウトを変えられます」。奥のギャラリーの壁には、錆びた乳母車と拾ったガラス、流木、自分の絵を組み合わせた立体作品がある。フォルムがクワガタムシに見えるため英語の「スタッグビートル」と名付けた

鉄の打ち出しは、秋から春がメイン。夏は暑くて作業できない。後ろの棚は、古い家具や雑貨を販売するルビー商會で購入した

小屋の扉は槇塚さんの作品によく使われるライトブルー。船好きの槇塚さんが選んだ丸い窓もかわいい。小屋のそばには、サクラやモミジ、オリーブがあり、季節を楽しめるのもお気に入り。「今すごい落ち葉だらけだけど、その風景もいいんです」

 

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POINT! >>>

仕事で使わなくなった材料も壁掛けフックに変身。転んでもただでは起きない精神

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★ 槙塚鉄工所について、詳しくはこちらから

・槙塚鉄工所 HP

・アキリノ住まいの電話帳

・当記事は「アキリノstories20」(2026年2月発行)に掲載しています

case 13ー 鉄作家 / INTERIOR DESIGN GUIDE 2026

槇塚 登

鉄作家 | 槙塚鉄工所 | 香川県高松市生まれ。鉄のオリジナル家具や調理器具等を手仕事で生み出す。鉄がある楽しい暮らしを提案する

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