case 01ー 空間プロデューサー / INTERIOR DESIGN GUIDE 2024
好きなカタチを組み合わせてつくる
空間リノベーション実験
薄グレー色のスレート外壁材で覆われた2階建ての元倉庫をリノベーションしたのが、パームス設計事務所の國宗幸史さんの仕事場。2014年、当時賃貸していた事務所とは別に倉庫を探していたところ、出会って購入に至ったそう。「小さい頃この辺りは遊び場だったんですよ。たまたま見つけた物件だったけど、土地にご縁があったんですね」
モノに選ばれて、
モノを生かす工夫
職業柄、解体時に持ち主から必要とされなくなったモノに向き合う時間がある。捨てられる一歩手前で琴線に触れたモノを持ち帰り、掃除をするのが至福の時間になっている。「この扇風機のデザインいいでしょ。動かなくて捨てられそうだったのを連れて帰って細部まで解体して掃除をしたら、なんと動いた! 嬉しかったですね」見渡せば、そこここで年代物の扇風機たちがカラカラと羽を回していた。
入り口近くの打ち合わせコーナーには、畳2帖ほどの無垢板の大きなテーブルが配され、窓際には木のスツール達が無造作に並べられている。スツールは、一つひとつ色もカタチも違うけれど不思議とバラバラに見えない。
「素材を揃えているからね。木は、時間が経つごとに深みを増し、味わい深い風情を育てる楽しみがある。でも家具は組み合わせ方次第で野暮ったくもなってしまう。自分が気持ちいいバランスになるまで、細かく動かしながら位置を決めていますよ」
規則性と大胆さと余白
天井高がある空間は躯体の鉄骨の柱や梁が強調されていて、奥行きを意識できる。家具の配置も縦横グリッドに合わす事で、規則的なリズムが生まれ、人の動線確保がしやすくなっている。一番高い場所で天井高が4m近くある空間の真ん中に吊るされているのは、木製の梯子。一見、圧迫感があるのでは?と危惧するが、視界を遮らない収まりになっている。梯子の上をよく見てみると手彫りの小さな七福神。
「見つけました? いい場所でしょ。入り口正面だからここでお出迎えしていただこうかと思ってね。梯子もサンドペーパーをかけて木の質感をだしたりして。いい塩梅になるようにひと手間を加えています」
50年代デザインを取り入れる
アクセントとして目を引くモダンな家具や家電たち。1950年代というと、第二次世界大戦後の復興期でありアメリカをはじめとする世界各国が経済的発展をした時代。この時代に誕生したインテリア家具デザインは「ミッドセンチュリーモダン」と呼ばれ、斬新さと自由さを備えた大胆なデザインであることが特徴だ。木のナチュラルな雰囲気とは反するテイストを組み合わせたことで、空間に絶妙なリズムができている。
「この時代、なんかいいでしょ? 家電のデザインもフォルムがいい。好きなモノを組み合わせて、とりあえず置いてみる。そして動かしてみる。気分で小物の配置を変えてみる。いろいろとやってみると、自分にフィットする空間がわかるようになると思いますよ」
POINT! >>> 高さのスケール感を確認できるように、柱に10㎝刻みでシールを貼っている。実は、カレンダーを刻んだ数字なのだ

ソファ打ち合わせゾーン。気に入った形の椅子を並べ、それぞれ強い色だがカラーをポスターとリンクさせバランスよくまとめている

拾ってきたテーブルライトも、オブジェ的に飾りながら、高低差を利用して実用的に使用している

ちょっとした遊び心のある小物達に出会える。気分で置き場所やモノを変えるそう

ガレージには、仕事道具や材が整理されている。中2階のイームズチェアは、リサイクルストアで手に入れたそう。「モノの価値感は人それぞれだけど、これは本当にお買い得だった」

外階段の下にあるアイコニックな部分はトイレになっている

一見すると、普通の倉庫に見えるが、サインやグリーンの配置などが、主張せずとも各役割を担っている
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國宗 幸史
空間プロデューサー | パームスデザイン設計事務所 | 香川県高松市生まれ。設計事務所2社を経て2013年に独立し、店舗など商業設計を主に行う。