case 02ー 外構・造園プランナー / INTERIOR DESIGN GUIDE 2024
自然のデザインを暮らしに取り入れ
内と外をゆるやかにつなぐ
高松市街地から坂出市を結ぶ五色台トンネルを抜けてすぐ、自然豊かな五色台を借景に取り込んだI’m Gardenには、大きなシンボルツリーがある。
「南向きで日当たりに恵まれているので、室内に落ちる木陰の表情を楽しみたいと思ってこの場所に植えました。太陽の位置によって陰影が変わるので、時が経つのを視覚的に楽しんでいます」
自然の移ろいを
ありのまま楽しむ
そう話すのは古い造園会社のイメージから、コンセプトある庭の提案に特化したブランドの立ち上げにも携わった才田恵美さん。仕事場として一日の大半を過ごすこの場所には緑が溢れ、洗練された雰囲気ながらどこかホッとする穏やかさがある。
「室内で育てるなら、冬でも緑がある常緑の木や、日陰でも育つような植物がおすすめです。庭木を剪定した時に出る大きな枝を生け込むだけでも、部屋のアクセントになってくれます。葉が落ちていく様子はもちろん、枝だけになっても違う表情を楽しめます」
そう。肩に力が入っていないグリーンの世界。だからこそ、ここは誰が訪れても癒されるのだ。
才田さんは庭をよく散歩する。そのときに出会う種から発芽したばかりの木を「木の赤ちゃん」と呼んで、苔玉に植えこむ。すると時折思いもよらない草花が芽を出すことがあり、山の景色を手元で楽しむ醍醐味を味わえるのだそうだ。
「自然の風景が美しい理由は、意図的な計算がされていないことにあると思うんです。苔玉にはそんな自然の営みが詰まっています。草をあえて抜かないこともありますし、全体のバランスを見ながら、必要な時に手を入れていくという感じでしょうか」
なるべく日本古来の在来種を植えるのも才田さんのこだわり。できるだけ自然のありのままを表現したいという思いが垣間見える。
なんでも器になる
店内を見渡すと、数々の植物と組み合わせられた器にも目が留まる。ガラスや石、鉄、木材など、それらが草花との相性が良いのはもちろん、石の壁や床との調和も取れている。
「植物はどんな器に生けてもいいんです。特に自然な素材同士は馴染みがいい。常にさりげなく作意を感じさせない自然なしつらえを心掛けています」と才田さん。
話を聞いていると、訪れる人の気持ちをほぐすような空間でありながら、器の素材感、植物の高低差や内と外との見え方の違い、さらにはディスプレイするための輸入家具など、細かいところまでバランスを計算し尽くしているのだと気づく。どこから、だれが見ても魅力的に感じる空間づくりは、遊びゴコロと緻密さによって成り立っているのだ。
POINT! >>> 漆喰加工を施し間仕切り壁に見立てた本棚。奥は打ち合わせスペースで、カタログなど収納されている

天井には新緑の時に剪定した枝が配され、紅葉して落葉した後の枝シルエットが印象的

植物や配置を変えると違った印象になる

事務所に3カ所ある打ち合わせスペースのメイン。ここで寄せ植えのワークショップなども開催している

石ころの上に苔玉をのせるだけで、ころんとした可愛さが引き立つ

石畳を囲むように配された草木。四季折々に風景が変わる

シンボルツリーや木々に囲まれた事務所。五色台の山が借景になっている
★ I’m Gardenについて、詳しくはこちらから

才田 恵美
外構・造園プランナー | I’m Garden| 香川県綾歌郡生まれ。敢えて斬新さは避け、シンプルで年月を経ても飽きがこない素材感ある庭づくりを心掛けている