case 08ー 建築士 / INTERIOR DESIGN GUIDE 2025

case 08ー 建築士 / INTERIOR DESIGN GUIDE 2025

好きなモノを
見つけて組み合わせる

高松市の西側、県道33号線沿いにモノクロの色調と木目で構成されたガラス張りの建物がある。木材店と建築事務所を営む多田一統さんの仕事場だ。扉を開けると目に飛び込んでくるのは、木の自然な曲線をそのまま生かした打ち合わせ用の大きなテーブル。そのまま視線を上げると、細長い木材を組み合わせた収納扉が見える。どちらも、事務所の横にある倉庫に眠っていた、反り・割れ・節がある木材を使っているという。
「お客様には出せないけど、使い道はあります。大きなテーブルには1枚板。真っ直ぐな空間に木材の曲線を使うことで、空間が和ぐ。収納扉はあえて、仕上げはせずに、のこぎりで切ったままの材料を使ってざらざら感を残し、節が目立たないようにしています」。

 

左:床の下地材に使われる構造用合板をカットして、収納棚の仕切りに 右:趣味のキャンプで使うコップをたまたま使っていた。インダストリアルなステンレスの素材と木材の組み合わせが面白い

照明は緩やかな曲線を描き、リズムが生まれている。大きいのにも関わらず、窮屈な感じはしない。
「大手メーカーの照明器具だと、他のお家と被ることが多い。形にこだわってみるとオリジナルの空間になります」と多田さん。
「木材屋なので、木をどれくらい使うか、メンテナンス性、木に対する思いをお客様に聞いて、暮らし方に合わせて木はこの部分にしましょう、と決めていく。木が映えるように周りはできるだけシンプルにしたり、照明の付け方を変えたりして工夫しています」。自分がより良く見せたいモノを1つ決め、それを軸に周りのインテリアを組み合わせていくと新しい空間が生まれるのかもしれない。

 

作業スペースは倉庫に眠っていた無垢板3枚を組み合わて1枚のL字型カウンターに

仕事で使う資料が収納されていることが想像できないほど上品な収納扉

工場の天井によく使われる毛木セメント板を事務所の天井と看板に使用。木材の凹凸に光が当たり、やわらかい陰影が醸し出される。外の天井も同じ素材にしているので、自然と外とのつながりを感じられる。同じ素材を多用することで統一感が生まれる

木の良さを感じてもらえる空間にするため、周りはなるべくシンプルな色を心がけている。照明は、夜、外から見たときにパッと見えるモノを選んだ

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POINT! >>> 大学時代に購入したステンレスの収納ケース。見渡すとステンレス素材など、グレーの色合いのインテリアが点在している

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★ ITTOU建築事務所 ・ 多田木材店について、詳しくはこちらから

・ITTOU建築事務所 HP

・アキリノ住まいの電話帳

・当記事は「アキリノstories17」(2025年7月発行)に掲載しています

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多田 一統

建築士 | ITTOU建築事務所 | 多田木材店| 香川県高松市生まれ。材料の調達から設計までを一貫して行い、木の魅力を生かした家づくりを続ける

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